私たちは長年、調査研究、国際協力に従事してきた立場から、環境保全等に係わる政策提言を積極的に行っていきたいと考えています。
今、取り組もうとしている具体的な課題は、次のようなものです。


*戦略的環境アセスメント(以下SEA)の推進

SEAとは、計画段階において可能な限り環境への影響を予測評価し、それを計画に反映させる手続きのことです。従来の環境アセスメントは、計画がほとんど固まった段階で行われる、いわゆる事業アセスメントでした。本段階では、計画に柔軟性がない場合が多く、環境保全上に問題が判明しても保全対策には限界がありました。そのようなデメリットを克服するために導入されたのが、SEAです。
SEAでは、広範な代替案の検討が求められるため、事業アセスで実施されているような詳細な現地調査は、時間的・費用的に困難な場合が多いことが想定されます。その場合、SEAにおける判断材料は、複数の計画案と既存情報に限られます。  私たちは、SEA制度のキーポイントは、「既存情報をどれだけ効率的に活用できるか」、だと考えています。そのために何ができるかを考え、提言していきます。


*GIS地域推進母体の形成とそれへの協力

地域におけるGISの推進体制(以下「推進母体」という)の構築は、全国的な課題となっています。推進母体には、行政と地域ニーズを橋渡し(GISの流通拠点)、多様な可能性に対応し(産学官の協力拠点)、GIS活用を推進していく(アドバイザリー拠点)ことが求められています。先進事例地としては、大阪府や三重県などがあげられます。
私たちは、推進母体は、基本地図の整備と普及の両方を担う組織として、産学官協力のもとに設立されるのが望ましいと考えています。ベースマップの作成・管理、域内のGIS整備支援、地理情報ポータルサイトの運営など、GISの総合的な情報拠点として活動することを提案します。  推進母体の形成には、広範囲の情報に精通した調整役(インターフェース)が必要になります。私たちがその役割を担っていくことができれば、と考えています。